Furano
Sustainable Drama

市民、観光客と共創る世界に誇れる
持続可能な地域づくりの先進地へ

INTERVIEW

富良野市商工観光課
課長 本田 寛康

-なぜごみの分別を持続可能な観光地域づくりのモデル事業にしようと思ったのですか?

持続可能な観光地域づくりは単にたくさんの観光客が来てくれれば良いという考え方ではありません。
もちろん経済のことを考えるとたくさんの人が来てくれることは嬉しいことなのですが、富良野市のことをわかってくれている人により多く来てもらえるようなまちにしたいと思っています。

ではどういった切り口で私たちのまちを理解してもらおうか。そう考えたときに思いついたのがごみの分別でした。

観光客の人たちは、「なぜ富良野市が細かなごみの分別をするのか」をご存知でないと思います。

持続可能な観光地域づくりの中で僕たちも改めて「なぜこんなに一生懸命ごみの分別をしているのか」ということを再確認しながら、生活文化になっているごみの分別を来訪者の方に理解してもらうことができれば、何か素晴らしい交流ができるのではないかと思っています。

-面白そうですね!ちなみにごみの分別やリサイクルは富良野市民には既に十分浸透している考え方や文化なのでしょうか?

そうですね。昔の人たちは生ごみの分別から始まり、分別種別も少しずつ増やしていくことで習慣化したと思います。
ごみの分別がはじまってから生まれた方達や移住者にとっては「富良野市に住むこと=ごみの分別をしなければならない」というところからのスタートなので生活文化として定着しているものかなと思っています。

-ちなみに本田課長も移住して富良野市に来られたと思います。現在の14種分別はどのように感じましたか?

以前住んでいたまちは生ごみを含め黒い袋になんでも入れて出していました。ですので最初は分別数に驚いたし、正直めんどくさいと思っていました。
僕自身市役所の職員なので「やらなければならない」から分別を行いましたが、今では「分別しないと気持ち悪い」と感じています。
旅先でも「生ごみと一緒に捨てても良い」となっていても、なんとなく分別してしまっています。笑

-本当に浸透しているんですね。笑
市外の方に対しては「富良野市=ごみ分別」のイメージの浸透度についてはどのように思われていますでしょうか?

ごみ処理をするための行政側の視点で言えば市民がわかってくれていれば良いと思っています。
しかし、富良野は数多くの観光客が来てくれます。観光客が出したごみはホテルや観光で訪れた先のお店、ごみ処理の事業者が代わりに分別を行い、ごみ処理が成立している現状です。

でもどうせなら富良野市民が行っている取り組みを知ってもらい「それじゃ協力しなきゃ」というふうになると良いなと思っています。それができれば事業者も助かるし、迎える側としてもすごく気持ちが良いじゃないですか。
こういった関係性ができれば僕たちも来てくれている人たちに対して親近感が湧いて、よりホスピタリティが発揮できるのではないかと思っています。

-いずれは「富良野=ラベンダー」のように、ごみの分別も観光と繋げるイメージでしょうか?

観光客が分別してくれた方が良いことであるのは間違いないと思っています。ですが、実際は分別用のごみ箱を用意するなど、こちら側の準備が間に合っていないところもあります。
ですので分別はできるだけ協力していただくとして、「ごみの分別は資源化に必要なこと」という富良野市の価値観に共感してくれる人がたくさん来てくれるようになると嬉しいです。

-最後に本田課長が思い描く持続可能な観光地域を教えてください。

富良野市に根付いているごみ分別という生活文化を理解し、リスペクトしてくれるような仲間を増やしていくことができればいいなと思っています。
「旅に来る旅行者」というよりは、もう一歩私たちの立場や考えに近い人が一人でも多く富良野へ来てくれるよう、持続可能な観光地域づくりの中で取り組んでいきたいです。